最終更新日: 2022年12月8日
「ゲームテスター」と聞くと、どのようなイメージを持ちますか?「楽しそう」「ゲームをしてお金がもらえるの?」などいろいろだと思いますが、実際のところはどうなのでしょうか?この記事では、ゲームテスターになりたい人に向けて、ゲームテスターの具体的な仕事内容や必要となるスキル、どのようなキャリアアップが期待できるか、平均的な年収はどのくらいか等を解説しています。その上で、ゲームテスターになるための方法も紹介しているため、ゲームテスターを目指す方は、是非参考にしてください。
ゲームテスターとは
ゲームテスターとはリリース前のゲームをテストプレイして、仕様通りに動かない点やバグ(不具合)がないか等を確認する担当者のことです。ゲームテスターのことを「デバッガー」と呼ぶ会社もあります。
テストの方法は会社によって異なり、あらかじめ決まったテストケースのリストを渡してテスターに実行を指示する会社がある他、実際のプレイヤーと同じ視点でゲームをプレイするよう指示し、バグの発見のほか操作性を評価させ、それを開発元にフィードバッグする会社もあります。近年では、前者のようにテストケースを実施する会社が多くなっているので、その方法を例にとって解説いたします。
ゲームテスターの仕事とキャリア

まずテスターに最も近いキャリアアップ先として「テストリーダー」があります。テストリーダーは、テスターにテストケースを割り振ったり、テスターによるテストケースの進捗状況を管理したりするのが仕事です。進捗が遅れているテスターがいる場合、テストリーダーは進捗が遅れている原因を分析して適切な対処を行ったり、テストケースを適宜別のテスターに割り振ったりして調整を図ります。
またテスト計画に基づいて、テストケースを作成する「テスト設計者」も、テスターのキャリアアップ先の1つです。テスト設計者はテストケースを作成すると共に、テスターにどのようにテストを実行させるかも検討します。たとえばテストを進めやすくするため、キャラクターを無敵にしたり、ステージを飛ばしたりします。
ゲームのテストにおける最上位のキャリアに位置するのが、「テストマネージャー」です。テストマネージャーは開発チームと交渉してテスト計画を策定したり、テスターによって全てのテストケースが完了した後にはその結果を報告書にまとめたりします。
テストマネージャーは開発の遅延や人員不足等を見越してあらかじめ計画を立てる洞察力や、テスト計画が遅延した場合に関係者と相談してテスト計画を変更する調整力なども求められます。テスターが経験を積んでいけば、テストマネージャーへのキャリアアップも可能です。
ゲームテスターに必要なスキルは?未経験でも大丈夫?

なおゲームテスターは未経験でも目指せる職種ですが、ゲームに興味を持っていることはもちろんのこと、与えられた仕事を最後まで責任をもって完了させる責任感は必要です。テスターは1日何時間も同じゲームをプレイすることになることから、集中を切らさず業務を進められる忍耐力も欠かせません。
将来的なキャリアアップまで想定すると、与えられたテストケースを漠然とこなすだけではなくて、自ら”考える力”が必要となるでしょう。たとえばテストケースをどのようにすれば効率的に進められるかを常に考え、それを実行にしていくことで他のテスターと進捗に差がでてきます。よりテストケースをスムーズに完了できるテスターは、それだけ評価も上がりキャリアアップにもつながるわけです。
ゲームテスターの収入はどのくらい?
地域によっても大きく異なるため一概には言えませんが、ゲームテスターの平均的な月収は18~25万円のことが多いようです。テスターはテストリーダーやテスト設計者、テストマネージャーへとキャリアアップをすれば、大幅な年収アップも期待できます。
ゲームテスターに向いている人
仕事の結果をきちんと評価されたかったり、多彩な案件に携わりたいと考えたりする意欲的な方、視野が広く物事を多角的に考えられる方はゲームテスターに向いています。
またゲームやITに強い興味を持ち、これら業界の情報に常にアンテナを張って自ら情報収集に努めている方もゲームテスター向きです。ゲーム業界もIT業界の一部であり、目まぐるしいIT技術の進歩は当然ゲーム業界にも影響します。ゲームテスターからキャリアアップするためには、日ごろから情報収集や勉強を欠かさず、日進月歩のゲーム業界についていく必要があるのです。
ゲームテスターになるには

ゲームメーカー・開発会社で働く
ゲームメーカー・開発会社で働くことのメリットとしてまずあげられるのは、運営チームや開発チームのすぐ近くで働くことができる点です。運営チームからユーザーの生の声を聞いて、それを仕事に活かすことができます。また開発チームに自分たちの意見をダイレクトに伝えて取り入れてもらいやすく、それが仕事のモチベーションにつながるでしょう。
またそのメーカー・開発会社がリリースするゲームが好きであれば、やりがいも大きいです。外部のテスト専門会社にテスト業務を委託する機会も多いことから、外部との交渉技術を学ぶこともできます。
一方でデメリットとしては、自分たちでテストを行うのでなく外部へ委託したテスト業務の管理がメインとなるため、テスト技術が向上しづらい点があげられます。また自社開発のゲームがテストの対象となることから、扱うゲームのジャンルがある程度限られてしまう点もデメリットとしてあげられます。
その他、テスト専門会社と比べるとゲームテスターとしての求人(特に社員として)が限られたり、そのゲームメーカー・開発会社の売上に影響して求人が減ったりする点にも注意が必要です。
テスト専門会社で働く

たいしてプロジェクトの統括や意思決定といった部分は顧客側の主導で行われることから、自分の思うようにテストを進められないことがある点がデメリットです。またテスト専門会社は、そもそも顧客からの依頼がなければ仕事がないという点もデメリットとしてあげられます。
まとめ
ゲームテスターの仕事は、与えられたテストケースを正確に実行してバグの有無等を確認することです。「どうしたら効率的に仕事を進められるか」を自分で考え、テストケースをよりスムーズに完了できる方は、テストリーダーやテスト設計者へのキャリアアップする道も開かれています。ゲームテスターはスマホゲームの興隆により、以前より年収もアップしており、ゲーム好きの方や手に職をつけたい方にとっては魅力的な職種です。

ソフトウェアテストに従事して約20年。 テストマネージャーとして、Webシステムやスマホアプリ、ゲーム等の様々なソフトウェアのテスト計画策定、テストチーム構築、テスト管理、品質分析および品質向上施策提案などに携わる。保有資格として、IVECハイレベル5やJSTQB AL TMなど。現在は、AIQVE ONE株式会社にて、ソフトウェアテストについての社員教育や、テストプロセス・テスト手法の仕組み化・標準化に取り組んでいる。
【著作】『ゲームをテストする バグのないゲームを支える知識と手法』(翔泳社)