最終更新日: 2024年2月19日

必要なポイントをおさえずにゲームテストの自動化に取り掛かってしまい、失敗する事例は少なくありません。「テスト自動化が流行っているから」とか「他社が成功しているから」といった漠然とした理由で取り組むことは、あまりおすすめしません。

ゲームテストの自動化で成果を出すためには、事前の準備が不可欠です。この記事ではゲームテスト自動化に取り組む前に整理しておくべきポイントと、ポイントをおさえた上で必要となる準備の内容を解説します。

ゲームテストの自動化に取り組む前に考えておくべきポイント

ゲームテストの自動化は、実際に取り組む前にこれから紹介するポイントをおさえておかないと、失敗する可能性が高くなります。以下、実際にどのようなポイントを考えておくべきか1つずつみていきましょう。

テスト自動化の目的を明確化する

テスト自動化を進める際は、自動化によってどのような成果をあげたいか目的をできる限り明確化しておくことが必要です。目的が曖昧なままだと、テスト自動化自体が目的となってしまい失敗する可能性が高くなります。

テスト自動化の主な目的は、
・工数やコストの削減
・テスト品質の向上

などです。テスト自動化によっていつまでにどのくらいのコストを削減したいのかなど、具体的な目標を決めましょう。

何をテストするのかを明確にする

テスト自動化を成功させるためには、何をどのようにテストし、どのような結果が得られるのかを明確にしておく必要があります。自動化テストは、あらかじめ決められたことしか実行できないためです。以下のようにテストすることが不明確な状態では、テスト自動化で成果をあげることはできません。

・そのテストケースで、何を確認したいかがわからない
・テスターによってテストケースの実行結果が違う
・そもそもテスト設計やテストケースの作成が不十分

こういったことがないように、テストの内容は誰が見ても誤解なく理解できるように明確化しましょう。

テスト自動化に取り組むための準備

テスト自動化をすすめるにあたって注意すべきポイントをみてきました。それでは、テスト自動化に取り組むためには、どのような手順で対応をすすめればよいでしょうか。以下、テスト自動化の手順を簡単に紹介します。

1. テストケースの作成

施策に基づいてテスト設計を行い、次にテストケースを作成します。テスト設計の際は機能やテスト観点の洗い出しなど、基本的なソフトウェアテストのプロセスをきちんとおさえることが必要です。

その上で、テスト自動化を成功させるためには、テストケースの手順や期待される結果を明確にしておくことも求められます。曖昧な要素が残ったままであると、テスト自動化を適切にすすめることはできません。

2. 自動化する部分、しない部分の仕分け

テストのどの部分を自動化して、どの部分をしないかを仕分けします。全てのテストが自動化に適しているわけではないためです。

具体的には以下のような特徴があるテストについては、テスト自動化に適していません。手動で行った方がよいと考えられます。

<自動化に適していないテスト>

・テスト対象の機能が、今後も頻繁に変更されると想定されるもの
・テストの頻度が低いと考えられるもの
・バグ検出を目的とするもの
・テスト結果を明確化できないもの

一方で以下に該当する場合は、テスト自動化に適していると言えます。

<自動化に適しているテスト>

・テスト対象の機能が、今後も変更されることがないと想定されるもの
・テストの頻度が高いと考えられるもの
・テストの手順や結果が明確であるもの

3.スクリプト作成

自動化するべきテストケースが決まったら、いよいよ自動化に利用するスクリプトの作成に入ります。スクリプトの作成後は、動作対象の端末で正しく動作するかの検証も必要です。

なおスクリプトは、作成すれば終わりではありません。適切に使い続けられるように、適宜メンテナンスが必要となります。コスト計算をする際は、スクリプトのメンテナンスにどのくらいコストがかかるかも考慮しましょう。

まとめ

テスト自動化で成果をあげるためには、目的を明確にしておく必要があります。目的が曖昧であると、自動化自体が目的となり失敗しやすくなるためです。

次にテスト自動化で「何をテストするのか」も、具体的に決定します。自動化テストでは、決められたことしかできないからです。テストケースで何を確認したいのかわからないなど、不明瞭な状態ではテスト自動化で成果はあげられません。

その上で、テストケースの作成や自動化テストに適した内容の仕分けを行います。最後に、テスト自動化の対象となったテストケースのスクリプトを作成すれば、テスト自動化の事前準備は完了です。